• 2019年度
  • 優秀賞

舗装工事におけるICT技術の活用

鈴与建設株式会社 増田 勝也

1.はじめに

現在、国土交通省ではICTを建設施工に適用して、多様な情報の効率的な活用により、施工の合理化を図る生産システムとして、情報化施工の普及を促進している。こうした背景の基、静岡市発注工事の「平成30年度 清水港線舗装工事」にて、ICT技術の地上型レーザースキャナ(以下、「TLS」)を用いた出来形管理やVAS Mapを用いた品質管理、デジタルサイネージを活用した安全管理を実施した。

本報告は、本工事で活用したICT技術の内容および結果について報告するものである。

2.工事概要

工事名
平成30年度 清市交第3号 清水港線舗装工事
工事箇所
静岡市清水区 折戸4丁目外2 地内
工期
平成30年 7月 6日~平成30年11月 5日
発注者
静岡市
工事概要
工事延長580.4m 幅員2.83~4.84 表層工 細粒度As(13)(脱色)1926m2

3.活用した情報化施工技術

4.実施結果 

①TLSによる出来形管理他

通常の事前測量・出来形管理に加え、TLSを事前測量と出来形管理に採用した。不陸整正工と舗装工の出来形をヒートマップ化し、面によって管理することにより、管理測点以外の出来形を把握することができ、表-1のとおり、規格値50%以内の精度が高い施工を行ったことを見える化することができた。また、取り壊し数量と使用材料の算出についても表-2のとおり、TLSデータを利用してもそれほど相違なく採取することが分かった。

②VAS Map(車両の位置管理・安全運行支援システム)

舗設時において、ダンプ待ちによる施工の一時中断は、合材温度の低下となり品質に影響する。VAS Mapは、As合材運搬ダンプの位置情報を現場でリアルタイムに入手することができるアプリである。その位置情報とプラントとの供給状況を確認できたので、一連の舗設作業を調整し、所定の品質を確保することができた。舗設時におけるダンプ供給時間と作業時間は表-3のとおりであり、ダンプのロスもなく、円滑な施工をすることができた。

③デジタルサイネージ(工事情報公開システム)

本工事施工箇所は、幼稚園児から大学生、近隣住民などの歩行者が多く往来する箇所である。そこで、工事期間や作業内容、進捗状況、規制方法等の工事情報を速やかに公開し、歩行者への周知と理解を図るとともに、工事に対するイメージアップに繋げた。写真-7に実際の設置状況を示す。工事情報を速やかに周知でき、こまめに情報を更新できることから、近隣住民の方から工事に関する質問等が増え、周知と理解を得るとともに、コミュニケーションも図ることができ、効果として無事故・無災害・苦情件数0件で工事を完成する事ができた。

5. まとめ

今回活用したICT技術は、数量算出や出来形の把握、品質確保、安全性の向上に繋がった。VAS Mapやデジタルサイネージは、特に特殊な技術を要するものではない。ICTというと敷居が高く感じてしまうが、まずは、現場に即した手軽なICT技術を選定し積極的に活用し、ICTを身近に感じながら、現場との融合を図り、作業の効率化と工事現場のイメージアップに繋げていきたい。