• 2019年度

路盤工事における従来工法とICT情報化施工の施工比較検討

静和工業株式会社 新海 隆

1.はじめに

対象工事は、清水港新興津都市再開発用地整備に伴う新興津埠頭内の道路舗装工事で、施工延長530m、施工幅員9.6~22.8m、総面積8,940m2の2件の舗装工事でした。現在は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、インフラ整備を担う技術者が将来不足することが懸念されています。そこで地上型レーザースキャナー(TLS)にてICT情報化施工を路盤工に活用することで、生産性の向上と効率化を図ることが必要であると考えMCモーターグレーダーと地上型レーザースキャナー(TLS)を使用した情報化機械化施工を行いました。

そして、当社が施工した2件の舗装工事は共に施工内容が類似しており、又施工環境も隣接工事であり、生産性を実証するため従来路盤施工方法とICT路盤施工方法との施工能力と経済比較検討が可能であると判断し行いました。

2.工事概要

【従来工法】

工事名
平成30年度 清水港 新興津埠頭内道路舗装工事
工期
平成30年5月29日~9月14日
発注者
静岡県清水港管理局
工事概要
施工面積 4,430m2
路盤工 2層(下層/上層)
As舗装工 3層(上層/基層/表層)

【ICT情報化施工】

工事名
平成30年度 清水港 新興津1号道路舗装工事
工期
平成30年6月26日~10月19日
発注者
静岡県清水港管理局
工事概要
施工面積 4,510m2
路盤工 2層(下層/上層)
As舗装工 3層(上層/基層/表層)

3.従来工法とICT情報化施工の施工比較検討

従来工法 路盤工

・水準測量を行い水準点を設置した後、レベルを使用して丁張を設置しました。

・路盤施工時には、設置した丁張と水糸を基にモーターグレーダーを使用して路盤の敷均し、整正を行いました。路盤高さの確認は水糸を人力にて張り、糸下がりを測定して路盤高さ管理を行いました。

ICT情報化施工 路盤工

・基準点測量及び水準測量を行い基準点を設置した後、地上型レーザースキャナーによる起工測量を実施しました。これにより、人力による測量作業が省略することが可能となりました。

・路盤施工時、MCモーターグレーダーは自動追尾型トータルステーションからの安定した信号の受信ができました。これにより、人力による丁張設置を省略し、路盤の敷均し、整正をすることが可能となりました。

・MCモーターグレーダーによる路盤整正は、仕上がり精度が大変高く、社内規格値±32mmの50%以内を満足する平均基準高さ+3mmの測定結果でした。

4.従来工法とICT情報化施工での路盤工人員(経済)比較

5.従来工法とICT情報化施工での路盤施工機械(経済)比較

※ICT使用器械:Nikon-Trimble トータルステーション SX10
Nikon-Trimble トータルステーション SPS730 グレーダー GCS900

※ICT使用ソフト:建設システム SiTECH 3D (3次元設計データ作成)
建設システム SiTE-Scope (出来形ヒートマップ作成)

6.まとめ

当社ではICT技術の習得と生産性の向上を目的として、ICT施工への取り組みを行っています。該当工事については、ICT情報化機械化施工の対象工事ではありませんでしたが、発注者との協議の後、下層路盤工、上層路盤工についてはICT施工を実施することとなりました。

そして今回、下層上層路盤のみではあったが、生産性を実証するため比較検討した結果、従来路盤施工方法よりICT路盤施工方法の方が、8,000m2当り24人省力化し、コスト削減ができました。又、MCモーターグレーダーでの敷均し作業では、施工日数が下層で2日、上層で2日其々短縮することができ作業の効率が向上しました。以上の結果より、路盤工でのICT情報化機械化施工の生産性の向上が確認できました。

今回の路盤工のICT施工(情報化機械化施工)では、生産性の向上の確認と共に人力作業の省力化が可能になることで、工期短縮と省力化、且つ重機と作業員の錯綜作業の防止により安全施工にも繋がったと改めて確認することができました。これからもICT施工(情報化機械化施工)の活用により工事安全、工期短縮、生産性の向上に努めていきたいと思います。