• 平成30年度

(一) 金指停車場和地線舗装修繕工事の問題点について

須山建設株式会社 宮城 凌

1.はじめに

本工事は昼間の交通量が多く、緊急車両の搬送ルートにもなっていることから交通渋滞を緩和するため夜間で行った舗装修繕工事でした。しかし、現場周辺には集合住宅や店舗が数多くあり、沿道環境に配慮が必要でした。通常では施工前に予告看板や回覧等で道路利用者と沿道住民に周知を行いますが、今後も工事が継続されていく路線でもあったため、工事の必要性を道路利用者や住民の方に理解して頂く上でも施工中の環境対策が課題となりました。
今回の報告は、当時3年目の私が先輩方のアドバイスを頂きながらこの課題に対し周囲に与える影響をいかに軽減すべきか検討を行った結果を報告します。

2.工事概要

工事名
平成29年度道路維持修繕国県道単独事業 (一)金指停車場和地線舗装修繕工事
工事箇所
浜松市北区根洗町地内外

工期
平成29年12月13日~平成30年3月9日
発注者
浜松市役所 土木部 北土木整備事務所
工事内容
施工延長L=265m
施工面積A=2560㎡ 

3.課題の検討

工事期間中周囲にかける影響について現場踏査や設計照査を行い、課題を抽出し対応策の検討を行った。

(1)施工日数の短縮
当初設計の舗装構成で施工すると、上層路盤(t=14㎝)と基層(t=5㎝)までを施工するので日当り施工が伸びない。
(2)騒音
本工事路線は、住宅、アパート、店舗などが建ち並んでおり、騒音による苦情を受ける可能性があったため騒音の発生を抑制する必要があった。
(3)安全対策
本工事の起点は交差点部に差し掛かっており、基層施工期間中は一部区画線が消えてしまうため仮ラインにて対応となるが、施工中だけではなく、工事期間中も安全対策を考えなければならなかった
(4)工事のイメージアップ
今後工事が続く路線でもあったため、地域住民に工事に対する理解をして頂くためにアピールする必要があった。

4.実施結果

(1)①舗装構成の変更
発注者との協議により、当初設計の舗装構成(施工厚24㎝、表層5㎝、基層5㎝、瀝安7㎝+7㎝)からQRP工法(表層5㎝、大粒径16cm)に変更し施工を行った。
実施工日数は当初の施工日数が17日間であったが、9日間で施工が完了した。

②ZEROSAIの活用
天候で休工が増えることにより工期が延びることを防ぐために、より正確な情報を入手することができるZEROSAIを使用した。

③切削機の使用
既設舗装版がt=5㎝切削の設計、残りは掘削で設計が組まれていたが、施工性を上げ工期を短縮するために、切削機にて施工を行った。

(2)①夜間照明
住宅・アパートが建ち並んでいたため、バッテリー式バルーンライトを使用した。

②電光掲示板・矢印版
ソーラー式のものを使用し、騒音・排出ガスを低減した。

③重機合図
通常はクラクションによる合図だが、無線機を使用し合図を行った。

(3)①ミエール看板の設置
歩行者や自転車の安全面を考慮して後方が透けているミエール看板を設置した。施工期間中、事故はなかった。

②安全教育
安全意識の向上を図るために、自社で制作したVRコンテンツを使用し安全教育を行った。

(4)工事のイメージアップとして
①施工範囲に「交通安全」・「工事中」と記された直虎ちゃんの桃太郎旗を設置した。

②夜間施工中の起終点には通常のバルーンライトではなく、より視認性に優れたデザインバルーンライトを使用した。

③地域貢献として施工範囲の側溝清掃、現場近くの根洗神社の清掃を行った。

5.おわりに

今回の工事では環境対策が課題でしたが、施工方法をQRP工法に変更したことにより工期を短縮することができ、それに伴い地元住民・店舗など周囲環境に与える影響を減らすことができたため、工事中に苦情を受けることなく、予定していた工程で工事を完成させることができた。
今回の工事では承諾により施工方法を変更して施工を行ったが、周囲環境の影響を考え、今回のような住宅や店舗が建ち並んでいる工事箇所については、当初の設計段階から現場状況を考慮した設計・施工方法を検討した方が望ましいと思われる。