• 平成29年度

(主)浜北袋井線舗装修繕工事の問題点について

㈱中村組 下塩入純也

1.はじめに

本工事は、磐田市と浜松市を結ぶ主要地方道浜北袋井線(県道61号線)が経年老朽化による、亀甲状・線状クラック、わだち掘れが多く発生している為、設計条件N6(C)交通にて施工する舗装修繕工事であります。
当初設計では、経済比較等の結果により加熱瀝青安定処理工法(全施工厚さ30㎝、施工日数52日)が設計計上され夜間工事(21時~6時)となっていました。本工事区間には、商業施設や住宅が連立していた為、工事により商業施設への営業阻害、地元住民には最小限の日常生活への影響配慮を含む苦情がない様にと発注者及び自治会から要望があり綿密な施工計画(工程・施工方法)が重要となりました。

2.工事概要

工事名
平成28年度 防災・安全交付金(舗装修繕)事業(主)浜北袋井線舗装修繕工事
工事箇所
浜松市浜北区本沢合外地内
工期
平成28年9月14日~平成29年2月24日
発注者
浜松市役所 東・浜北土木整備事務所
工事内容
施工延長L=544.8m
施工面積A=4,594m2
工種
表層工(密粒度As改質Ⅱ型)

3.現場の問題点

当該箇所は磐田市と浜松市を結ぶ東西交通要衝の為、交通量が多く深夜営業・年中無休の商業施設も多く、早期交通開放と同時に施工性を重視した工法が求められました。さらに、工事により商業施設への営業を阻害しない事、住民へは日常生活への影響を最小限に抑えるよう、地元要望を加味した施工ブロック割の計画が最重要となりました。本工事は夜間施工が主体となっており、不要な騒音等の発生を抑制すると同時に工事の早期開放を追求する為、出来映え(平坦性等)の確保が課題となりました。

4.問題点への対応と結果

【対 応】
①工法変更
・発注者との協議により当初設計の加熱瀝青安定処理工法(全施工厚30cm、表層5cm・基層5cm・瀝安10+10cmの4層施工)から急速舗装修繕工法(全施工厚26cm、表層5cm・大粒径11+10cmの3層施工)に変更。
②振動騒音抑制
・既設As舗装版の取壊しをバックホウから路面切削機へ変更。
・取り合い部等のブレーカー使用による取壊し作業を夜間から昼間に変更。
・合材ダンプへの合図をクラクション使用から無線と専属の誘導員配置に変更。
③舗装の性能確保
・本来QRP工法は21cmの施工厚であれば高締固め型AF(ダブルタンパ型orプレッシャーバー型)の使用で1層施工が可能であったが、締固め密度・平坦性確保の為、通常の6.0m級AFを使用し2層施工(11+10cm)で対応し、早期交通解放のため中温化剤の使用。
【結 果】
①当初設計52日施工日であったが20日施工で完了→32日短縮
②地域住民より苦情なし
③表層工での平坦性向上 (北側車線1.23㎜、南側車線1.15㎜)< 規格値2.4㎜


5.終わりに

本工事において、地域住民・商業施設からの苦情により夜間施工を中断させられる事が危惧されたが、苦情もなく綿密な施工計画通りの日程で工事を完了することができました。又、出来栄えについても高度な平坦性が得られ満足できる舗装修繕工事の完遂となりました。
紙面上ではございますが改めて、発注者であります浜松市役所(東・浜北土木整備事務所)の協力と地元の皆様に御礼申し上げます。
発注者様へのお願いですが今後20年の舗装長寿命化設計の中で、多層の舗装施工が必要となりますが、今回のような商業施設や住宅が連立している工事箇所については、当初設計検討の段階で現場状況を考慮し、経済性を検討した設計計上が重要であると考えます。