須山建設株式会社 藤田 司
1.はじめに
本工事は(国)257号線の舗装修繕工事でしたが現地踏査を行った結果、表層部分に横断目地のようなクラックが多く発生していたため、下層部にあるコンクリート版等の目地やひび割れなど、縁の切れた箇所で発生するリフレクションクラックと考えられ対策が必要であった。
また、表層部が雨水の浸入により内部剥離をおこし破損している箇所も多く見られたため、同様にこれらの問題にも対策を考えて提案し、施工する必要があった。
2.工事概要
- 工事名
- 平成27年度 防災・安全交付金(事故危険対策)事業
(国)257号外1線 連尺交差点改良工事 - 工事箇所
- 浜松市中区連尺町・紺屋町 地内
- 工期
- 平成28年2月10日~平成29年1月13日
- 工事内容
- 舗装修繕工事 A=970㎡
表層工(再生密粒度As(20)t=5cm
路面切削 平均t=5cm - 交通量の区分
- N5(B-1交通)
3.現状の把握、問題点
現地の試掘を行った結果、表層(アスファルト舗装 t=5cm)の下層部に硬いコンクリート層(t=20cm程度)があるためリフレクションクラックが発生していた。また、下層が硬いため交通荷重が緩和されることなく表層に伝わり、耐えられずクラックが発生し、このクラックに雨水などが浸入することで内部剥離をおこし破損している箇所もみられた。舗装端部においては、道路側溝より盛り上がっている箇所もあるため厚さが無いことも懸念されましたが、調査の結果、外側線から側溝まではコンクリート層が無いことが確認された。
以上の結果から、以下の問題点が挙げられた。
問題点
①切削厚さの検討
②リフレクションクラックの抑制
③表層部にかかる交通荷重の緩和
④雨水による剥離防止対
4. 施工の検討・提案結果
①切削厚さの検討について
今回設計は厚さ5cmの切削になっていますが下層部にコンクリート層があり、表面を切削する事により破損させたり浮きあがってしまったりする恐れがあるため、切削厚を薄くするか、24cm程ある厚さ全てを撤去してしまうかのどちらかを選択する必要がありました。調査業務委託などから道路の痛みは表層部分のみであったことから今回は表層のみを切削することが最良と思われました。厚さについては工法にもよりますが下部に影響がでない4cmが良いと判断しました。
②リフレクションクラックの抑制について
リフレクションクラックを抑制するには切削時クラックが発生している箇所にクラック防止シートを使用しました。
③表層部にかかる荷重の緩和について
表層部にかかる荷重を緩和させるため中間層に応力緩和層を設けることのできるじょく層工法を採用した。じょく層工法は既設路面が膨張・収縮する際に、じょく層により応力が緩和され、表層に伝わりにくくなるためリフレクションクラックの抑制にもなる。
④雨水による剥離防止対策について
残留安定度は水浸マーシャル試験により判定され、パーセント値が高いほど水に強いと判断される。設計では表層を再生密粒を使用することとなっていましたが残留安定度は低く、剥離をおこす可能性が高いため再生材は使用せず、またストレートアスファルトより安定度の高い改質アスファルトを使用する事が良いと判断した。以上の条件を考慮し、現場独自の配合で試験練りを行なった結果、改質Ⅱ型(13)を使用し施工することとした。
⑤結果について
提案は発注者に承諾され変更の対象となり、施工を実施することができました。
施工後半年以上たった現在、表層部分にクラックは見られず良好な状態を維持しています。
5.終わりに
今回施工前に行った調査より道路の破損状況から原因を把握し、現場に合った補修方法で施工することでライフサイクルを延ばすことができました。今後はメンテナス時代に向けたインフラ長寿命化が進められていく中、積極的に新技術・材料を取り入れ現場に合った補修方法を提案していきたいと思います。