• 優秀賞
  • 平成27年度

舗装修繕工事における情報化施工(ノンプリズム事前測量、MC、TS出来形)

鈴与建設株式会社 内海泰輔

1.はじめに

現在、建設業を取り巻く環境は、公共投資予算縮小、橋梁等の膨大な社会資本更新、少子高齢化による労働力不足、熟練者不足による品質低下、地球温暖化を代表する環境問題など多くの課題を抱えている。これら課題を解決するための手段として、国土交通省では、情報化施工(IC T)の一般化・実用化のより一層の普及推進を図っている。この背景の下、静岡市発注の「(国)149号舗装工事」にて、【1工区】を従来施工、【2工区】を情報化施工にて実施した。その内容および結果について発表する。

2.工事概要

工事名
平成26年度 清国舗第1号(国)149号舗装工事
工事箇所
静岡市清水区港町二丁目外2地内
発注者
静岡市(清水道路整備課)
工期
平成26年7月18日~平成26年10月27日
工事内容
【1工区】               【2工区】
工事延長 91.4m          工事延長 90.5m
舗装幅員 6.80-8.10m     舗装幅員 14.00-15.80m
表層工(ポーラスAs) 748m2   表層工(ポーラスAs)1310m2
基層工(導水部) 11m2       基層工(導水部)51m2
切削工 759m2            切削工 1361m2

3.採用した情報化施工技術

① ノンプリズム自動追尾TSによる事前測量
② 3次元MCによる路面切削と舗設
③ ノンプリズム方式によるTS出来形

4.実施結果

①情報化施工と従来施工の出来形データ(設計値との差)の比較
情報化施工した2工区と従来施工した1工区の出来形データの最大値、最小値、平均値を表-1に示す。情報化施工より従来施工の方が良い結果であるが、いずれも概ね規格値の5 0%以内をクリアしており、良好な結果であった。

②ノンプリズム自動追尾TS出来形と従来出来形のデータ(規格値との差)比較
情報化施工した2工区におけるノンプリズム自動追尾TSとオートレベルによる出来形データの最大値、最小値、平均値を表-2に示す。この表より測定結果はほぼ同じであっ た。

③施工時間の比較
情報化施工した2工区と従来施した 1 工区について、各工種の所要時間を表-3に示す。施工管理については、ともに30分であったが、路面切削作業では、従来施工より情報化施工の方が15分時間を要した。

5.まとめ

本工事における情報化施工は、精度、施工効率ともに従来施工と同等であり、舗装修繕工事においても、情報化施工を十分活用できたと考えている。しかし、いくつかの課題(問題点)も浮き彫りになった。
事前調査においては、構造物によるレーザー遮断が最も少ない箇所をTS設置箇所に選定し、昼間に事前調査を行ったが、大型車両によるレーザーの遮断が繁茂に発生したため、測定に想定以上の時間を要してしまった。夜間は交通量が減ったため、レーザー受信に関しては特に問題なく施工できたが、夜間でも交通量が多い、または、レーザーが遮断される構造物が多い施工箇所の場合は、TSを増量する等の対応が必要である。
また、施工時の仕上がりの確認作業に 1 人、情報化施工設備機器の取り扱いに2人等、従来施工よりも多くの人員が必要になってしまった。路面切削作業で15分遅延した原因は、この確認作業と設備機器の取り扱いに時間を要したためである。今後、情報化施工活用の機会が増えてくることで人員の削減は図れると予想できるが、現状では、施工面でのメリットである、省力化、省熟練化と反する結果であった。
今回採用した情報化施工は、確認段階技術であるが、既に一般化推進された技術と同様に、施工の効率化および省力化、品質確保、安全性の向上等に繋がる技術であると感じた。今後も、課題対策を検討し、情報化施工技術を積極的に活用するとともに、実用化へ向け取り組んでいきたい。