株式会社エコワーク 入屋 拓馬
1.はじめに
本工事は島田市横井運動公園内のサッカー場を天然芝から人工芝に改修する工事である。契約工期が年末年始休暇を含め100日間で、人工芝敷設に概ね30日間を要するため、その前後の工程をいかに効率的に施工するかがポイントとなる工事であった。その状況で工期短縮と品質向上に対する取り組みを発表する。
2.工事概要
- 工事名
- 平成26年度横井運動公園サッカー場改修工事
- 工期
- H26.11.20~H27.2.27
- 発注者
- 島田市(スポーツ振興課)
- 工事内容
- 土工(掘削・土砂運搬)1,680㎥、グラウンド舗装工10,000㎡
排水施設工1式、縁石工L=465m、附帯施設工1式
3.課題と解決方法
- <課題>
- ①施工面積約10,000m2、平均掘削深さ16㎝、土量1,680m3の掘削及び土砂搬出作業を効率良く進め、工期短縮を図る。
②施工中の降雨により路床に悪影響を与えないように水溜りを作らない精度のよい路床面の構築。(水勾配の確保)
③人工芝の下地は路盤(t=15㎝)であるため、人工芝の仕上がりは路盤面の精度により大きく影響する。そのため、精度(平坦性、勾配、基準高)の良い路盤面の構築。 - <解決方法>
- 課題に対し検討の結果、以下の施工方法とした。
(1)大型切削機の使用
掘削はバックホウに替え、大型路面切削機を用いた掘削、土砂積込み作業とする。(図-2)
(2)トータルステーション(TS)を活用した測量作業
3次元データにより測定作業の効率化、施工精度を向上させる。
(3)情報化施工モータグレーダを使用した路盤施工
マシンコントロール(MC)モータグレーダを使用し、設計面データによるブレードの自動制御施工により精度の高い路盤を構築し、工期短縮を図る。
4.効果検証
①路面切削機を使用した掘削作業の工期短縮と費用について
バックホウ及びモータグレーダによる掘削、積込み作業で路床整正までを完了させるには、日進施工量150m3となり、掘削土砂搬出で約11日を要する。掘削作業に路面切削機を使用したことで日進施工量600m3(A=3,500m2)となり、路面切削機で施工できない狭所(端部)のバックホウ掘削を含めても3.5日間で作業を完了し、約7.5日間の工期短縮となった。
本工事で路面切削機を使用した掘削作業の施工費は445円/m3であった。バックホウ、モータグレーダを使用した場合の施工費を試算すると550円/m3であり、コストダウンを図ることができた。しかしながら、設計積算価格(施工パッケージ)は275円/m3であり、大きな開きがある。
②路床の仕上げ精度について
路面切削機は、ミリメートル単位での掘削深さ調整が可能であり路床面を乱すことがなく平坦に掘削することができた。モータグレーダによる整正が不要であり、掘削後直ちにタイヤローラによる転圧で路床が仕上がる。(写真-1、写真-2)
また、施工に先立ち施工箇所の設計3次元データを作成し、測量作業は自動追尾TSを使用した。これにより丁張設置及び糸下りによる計測が不要となった。切削機の掘削に必要な掘削深さの計測が任意の位置でもワンマンで行うことができ、測量効率が大幅に向上した。大型切削機による掘削とTSによる測量を組み合わせることで、管理測点以外の任意の箇所においても精度の高い路床を構築することができた。(路床の基準高は設計値に対して概ね±20mm以内)
③マシンコントロールシステム(MC)モータグレーダを使用した路盤構築(写真-3)
3次元データに基づき、MCモータグレーダを使用し路盤の構築を行った。丁張を設置して糸下り等で路盤の出来形を確認する方法に比べて、点と線の管理ではなく面での管理となるため、精度の高い路盤を構築することができた。(路盤基準高は設計値に対して概ね±10mm以内) MCモータグレーダによる路盤施工は日進施工量約1,600m2であった。マシンコントロールを使用しない場合の日進施工量の試算1,300m2の1.23倍の施工量となり、工程を短縮することができた。
5.おわりに
本工事は課題に対し新技術の活用や創意工夫により大きな効果を得ることができた。施工条件によりこれらの技術が採用できないケースもあるが、今後の工事の一例として参考になれば幸いである。