臼幸産業株式会社 吉田 英樹
1.はじめに
本工事では箱根外輪山の支谷沿いを縫うように延びる御殿場市が管理する林道のアスファルト舗装を行う工事です。
施工箇所の土質は箱根山の噴火により堆積したローム層で粒度は粘土質である。
車両の走行は可能で有るが表面が湿潤状態となると、滑り易く平坦な場所でも車両の走行が困難な土質です。
林道は急綾な斜面の道路で有り、また、道路幅員も5mである為に、大型車両のすれ違いが出来ないなど、施工方法については十分な検討を行う必要がありました。
2.工事概要
- 工事名
- 平成26年度 道路整備交付金事業 林道沢入線舗装工事
- 工事箇所
- 御殿場市神山地内
- 工期
- 自 平成26年 9月 2日
至 平成27年 2月27日 - 発注者
- 御殿場市長
- 工事内容
- 施工延長 L=850m
施工面積 A=3680㎡
3.施工上の問題点
(1)通行路について
本林道の設計幅は5mで有る為に、カーブ中では大型車同士のすれ違いが行えず、施工区間内でのUターンも行えない為、日々の施工量について土砂・舗装材料の搬入・搬出方法について綿密に計画する必要が有った。
(2)降雨について
掘削後は、既設側溝への雨水の排水が出来ない為、降雨による路床基面の養生、路床・路盤施工時には、降雨によって発生する雨水対策が必要がある。
(3)道路の計画について
設計では、計画縦断はなく、横断勾配2%を既設道路側溝から計画する設計であった為カーブ(半径R15)を考慮した道路計画を行う必要がある。
4.通行路の対策
掘削後は路床基面の土質のは湿潤状態で有り車両の通行不可は元より、基面を痛める事から、終点側から起点側へ掘削を行う事とした。この為残土搬出、路盤材・アスファルト合材の運搬ダンプトラックは、バック走行により施工地点まで行く必要が有るので、バックでの走行距離が短くなるように、Uターン場所と車両同士がすれ違いが行える待避所を設置した。待避場は、場所毎に番号を付け施工の進捗にあわせて、Uターン・待避箇所を位置図・平面図等でわかりやすく待避場所の指示を行った。
5.降雨対策
掘削後には降雨等により掘削基面が濡れないように、当日または、翌日には路床材の1層目の施工を行うようにしました。また、仕上り厚さは1層目20cm、2、3層目は15cmの厚さで施工を行い、1層目を厚くして路床基面への転圧荷重が分散されるように行った。
路盤仕上がり時は側溝より施工面が4cm低くなる為、路盤面を流れる雨水が直接側溝に排水できない為、路盤面の洗掘を抑制する目的で、土のうを10m置きに側溝際に並べの洗掘を抑制を行った。特に既設側溝が洗掘される恐れがある場所については、枕土のうを縦断的に並べ側溝の洗掘が起こらないような配慮をしました。
6.道路計画
今回の設計は、既設水路から2%横断勾配を計画する設計の為、縦断勾配はその既設水路の勾配の影響を多分にうける事から、測点確定後カーブ設定を行い、既設水路縦断を測量した。その結果、特にカーブ前後の縦断勾配の変化が大きい事がわかり、カーブ中については横断勾配を5%まで変化させ擦り付ける計画としました。
7.施工時の工夫
今回の施工時には、路盤工施工時に既設水路からの横断勾配を確保する事とカーブへの進入性舗装の追従性を確保する為、路盤施工をアスファルトフニッシャーにて施工しました。
その結果、路盤の仕上がりも良く、特にカーブ前後の縦断勾配の変化にうまく対応でき、表層施工時も難なくカーブ施工を完了でき、平坦性も規格内を確保できた走行性の良い舗装を施工する事が出来ました。
8.終わりに
本工事での発注図は標準横断図のみで有った為、設計照査や施工現地に合わせ道路計画を行ったり、また、排水構造物の追加施工などにより本工事である舗装の施工開始まで日数が掛かってしまったが、予めに施工方法に関し準備を行うことが出来た為、大きな問題の発生も無く順調に工事を進めることが出来ました。
林道の舗装工事は一般道の舗装と違い準備面で慣れない事も多々あったが、今後、林道の舗装工事を行う場合には、今回の事例を参考にしつつ行いたいと思います。