• 平成30年度

TSを用いた表層工の締固め管理

大石建設株式会社 工事部 米山富浩

1.はじめに

この度、弊社としては初めての試みで、「TSを用いた表層工の締固め管理」を行った。
これを採用した目的は、TSの位置計測装置を用いて締固め機械(タイヤローラー)の走行軌跡を計測すると同時に、締固め回数をリアルタイムでオペレーター画面に表示し面的な締固め管理を行ない、締固め不足の防止と均一な施工の支援を行うことを目的としました。

2.工事概要

工事名
平成29年度[第29-I8254-01号](国)150号舗装補修(修繕)工事(舗装工)
工期
平成29年12月29日~平成30年3月16日
工事内容
施工延長L=172m
施工面積A=1290m2
主な工種
上層(加熱瀝青安定処理)t=15㎝
基層(粗粒度As(20)改質I型)t=5㎝
表層(密粒度As(20)改質II型)t=5㎝

3.「TSを用いた表層工の締固め管理」

全体の流れを下記フロー図に示す。

「TSを用いた表層工の締固め管理」を行うに当り、準備段階において下記の項目について実施した。

①現場事前踏査及び現地測量(基準点等の設置)
当現場においては、正規の座標値が無かったため任意で基準点及び測点の座標を設置し、締固め管理システムに反映した。

②締固め機械の選定
締固め機械については、弊社所有のタイヤローラーを使用した。

③試験施工(目標締固め転圧回数の設定)
弊社敷地内において目標締固め転圧回数を設定するため、試験施工を行った。
あらかじめ目標締固め転圧回数を4回転圧・6回転圧・8回転圧とし、各転圧回数用の試験区画を準備し、As合材の敷均し及び転圧を行ない、転圧完了後、各転圧回数の区画にて3個ずつコア採取をするとともに、As合材出荷元の試験室にてコア密度試験を行った。

④試験結果について判定・検討した結果、4回転圧では転圧が不十分であると判断し、6回転圧、8回転圧については大きな差はなく、6回転圧でも規格値を満足でき、転圧回数は十分であると判断し、「6回転圧」を目標締固め転圧回数に設定した。

4.システムの取付・各種設定

施工前に、システムの取付及び各種設定を行ない正常に機能するか確認を行った。
本施工前に基層工にて同現場条件のもとシステムを起動させ、正常に機能するかの確認を行った。
実際にTSを設置し施工を行ったが、TSの設置位置に考慮しなくてはならない等の問題が発生し、表層工の施工までに改善策を検討した。
検討した改善策をふまえて実際に表層工の施工を行った。
施工中、オペレーター画面(ヒートマップ)を確認したが、システムが正常に機能していることが確認でき、施工範囲全体の締固めが十分に行われていることを確認することが出来た。

施工完了後、コアを採取し密度試験を行ったが、規格値を十分満足している結果を得ることが出来た。

5.まとめ

今回「TSを用いた締固め管理」を行ったが、結果として舗装工事で十分活用でき、締固め管理には有効であると思われる。
今までの施工ではオペレーターの経験まかせで施工していたが、当システムはオペレーターだけでなく、我々管理者もリアルタイムで目で見て確認するとができ、「品質の見える化」が出来た。
しかし、弊社としては初めての試みであったことでいくつかの問題点、今後考慮すべき点が有ることが分かった。
問題点等を下記に示す。
・TSの設置に関して、自動追尾のため障害物があると途中で計測装置が機能しなくなる。
 そのため、TSを常に監視・管理する者が必要になる。
・システムの設定等に関して、独自で行う場合、数をこなし熟知が必要となる。