• 優秀賞
  • 平成30年度

転圧コンクリート舗装について

臼幸産業株式会社 石川 大貴

1.はじめに

アスファルトが主流を占める道路舗装材料の中、重車両に対応すべく、高い耐久性を持ち施工後のライフサイクルコストを抑えられる点や、環境負荷が少ない点で転圧コンクリート舗装が設計された。
転圧コンクリート舗装は、従来の舗装用コンクリートよりも単位水量の少ない硬練りコンクリートをを通常のアスファルト舗装と同等の機械で施工できます。また、通常のコンクリート舗装に比べても施工速度が速く、強度発現が早く、工期短縮、早期交通開放が可能な特殊工種となります。
しかし、仕様書・施工管理基準で明記されている施工管理基準を管理するには、製造プラント及び現場で裏付けとなる基準値の測定を試験施工で実施する必要性がありました。

2.工事概要

工事名
障害防止東富士地区海苔川流路工事
工事箇所
小山町須走地内

発注者
東部農林事務所
工事内容
施工延長 L=200m・施工面積 A=1000㎡
施工厚さ t=250mm 転圧コンクリート

3.施工上必要となった基準

本工事の仕様書では、転圧コンクリート下層部の路床・路盤・アスファルト舗装については、通常と同様の管理であるが、転圧コンクリートについては、コンシステンシー試験・締固め密度試験・温度管理と規定されており、材料の特殊性から試験施工を行い下記の基準値を決定する必要があった。
(1)材料試験(転圧コンクリートの配合)・材料の供給(製造日の固定)
(2)配合試験から材料特性の考察(練り混ぜ時間・最適締め固め密度・強度)・試験練りの頻度
(3)RI試験のキャリブレーション
(4)転圧コンクリートの温度管理(カッター目地施工開始時間・養生開始時間の決定)
(5)転圧回数の決定(回数による密度管理・余盛り量の決定)

■(1)(2)材料試験(転圧コンクリートの配合)

■(3)RI試験のキャリブレーション
転圧コンクリートは、締め固め密度管理としてRI水分密度試験でないと適切な結果は得られない。また、RI試験は、使用する材料毎でキャリブレーションが必要となる為、施工前に製造プラントで試験を実施し、基準となる密度を求めておく。

■(4)転圧コンクリートの温度管理(養生時間・方法の決定)
試験施工からコンクリートの発熱温度・現場の気温を測定し、カッター目地開始時間・養生開始時間を計画しておき、養生は、外気温との兼ね合いをみて散水養生とした。

図-3 コンクリートの温度管理・カッター目地試験施工

■(5)転圧回数の決定(回数による密度管理・余盛り量の決定)
試験施工を実施し、転圧回数による締め固め規定・材料の余盛り量を計画する。転圧コンクリートは転圧仕上げとなる為、材料の継ぎ足し・削り下げ作業はできない為、機械性能も試験施工で把握しておく必要がある。
     

4.運搬スケジュール~転圧コンクリートの施工

計測より、製造プラントより現場までの運搬時間を(運搬サイクルを35分)として材料発注を行い単位水量が少ない材料の為、1台毎コンクリートの温度・含水状態の確認を行った。
材料は、水分がなくなれば強度品質低下となり、水分が多いと転圧により路面の不陸に繋がる為製造プラント出荷時の状態を維持できるか、運搬での水分ロスを防ぐかが重要な点となった。
単位水量が少ない材料の為、牽引力の高いアスファルトフィニッシャーの採用にセンサーにて高さ管理出来る機能を備えて、均等な敷均しの管理を実施。締め固め密度管理は、仕上げ転圧完了後すぐに計測とした。また、水分の蒸発を抑える為、ダンプトラックには2枚のシートで材料を覆い運搬とし、現場到着時の温度・水分の定めた基準内を確認し、フィニッシャーへの供給開始とした。供給開始から仕上げ転圧までは、一連の作業形態を定め、タイムテーブルによる管理を行った。

5.終わりに

転圧コンクリートの施工は、規格された品質を提供する為には、自社基準及び製造工場での基準を定め試験施工を実施する事が必須条件となり、材料の特性把握に力量を注ぐ重要性がある。近年、コンクリート舗装が選択される中、この転圧コンクリート舗装も重要な舗装工種となってくると思われる。