株式会社 エコワーク 小林 剛
1.はじめに
本工事は、一般県道吉沢金谷線にて実施されている道路拡幅事業で発注された舗装工事である。工事内容は拡幅部の舗装新設と既設舗装部の舗装打換えで構成されている。既設舗装構成が、拡幅部舗装新設部と現道部の舗装修繕箇所と区分されている。現道部には、舗装部の地下には通信線が埋設されており、施工方法、品質確保、工程管理についての検討が必要であった。
2.工事概要
- 工事名
- 平成28年 吉沢金谷線県単道路改築工事(舗装工)
- 工事箇所
- 島田市神谷城地内
- 工期
- 平成28年7月27日~11月30日
- 発注者
- 静岡県島田土木事務所
- 工事内容
- 延長L=199m 面積A=1,400㎡
舗装打換え工事 A=700㎡
舗装新設工事 A=700㎡
・舗装設計期間 20年
・交通区分 N5(B1)交通
・区間のCBR 0.9%
・設計断面(路床の構築後)
設計CBR 8% 必要TA 21
・ジオテキスタイル敷設後CBR 3% 必要TA 29
3.事前調査
地中探査機で測定したところ、深さ1.2m付近に埋設管が確認された。
埋設管(金属管)の占用会社のNTTと現場立会を実施した。
・道路鋤とりで一時的に浅くなる場合、埋設管上40㎝のクリアランスが必要となる。
・浅くなったNTT管路に重機が乗らないように施工する。一時的に乗せる場合は鉄板等で養生を行う。
・絶えず重機が乗る場合は、防護コンクリートを打設させる。
4.現場における問題点
(1)舗装構成の変更について
事前調査を実施した結果、NTT管が埋設されており、当初設計の舗装構成で施工すると埋設管が支障となる。
(2)交通規制について
現道を掘削(約1.0m)するので、1日の作業では交通開放が出来ない。
終日片側交互通行規制の作業となり、早く交通開放するために工期短縮の工夫が必要。
(3)軟弱地盤での作業について
作業区間のCBRが0.9%と軟弱地盤であるため、施工方法、機械の選定が重要となる。
5.問題点の改善策と実施結果
(1)検討する補修工法はNTT埋設管の設置位置から40㎝のクリアランスを考慮した既設舗装面から80㎝の位置までで施工可能な工法とする必要がある。そのため路床改良工法、路床置換工法の採用は困難であり、ジオテキスタイル+瀝青安定処理を用いた補修工法とする。 (※ジオテキスタイルの敷設により設計CBR値は3となる。)
検討した舗装構成及び概算施工金額を以下に示す。
当該区間での舗装構成の検討を行った結果、提案①~⑤の舗装構成が考えられた。
5パターンの舗装構成を検討した中で、提案⑤の舗装構成が最も経済性に優れる結果となったが、提案①~③と比較すると上層路盤の工程が増えるために日々の施工量は伸びず、工期を要すると考えられた。現地の路面状況、経済性、施工性を考慮し、提案⑤の舗装構成で変更。
(2)工期短縮及び品質・安全性向上を図るために
①バックホウ掘削を切削機での舗装版取壊し、掘削。
②TSを活用した施工管理
トータルステーションとコントローラを無線で接続させて、ミラーで道路センターの位置出し、基準高の出来形検測を実施。また路盤工でも、無線の接続を切り替えることで、任意の位置の仕上り高さを迅速に確認(管理)。
③下層、上層路盤工では情報化施工を採用。
トータルステーションと連動して設計基準面(3次元設計データ)をオートブレードシステムで施工。機械をリアルタイムに自動制御して施工を行う技術。仕上り精度の
向上と作業時間の短縮。水糸検測要員不要、安全性向上。
④路盤の締固め密度を確保するため水平振動付きマカダムローラを使用
(3)既設舗装から約50㎝程度の深さがCBR1以下と推定されていたので切削機での施工は、50㎝までとし、残りはバックホウ掘削とする。軟弱地盤でトラフィカビリティーが悪く運搬ダンプが通行できないので、切削機で過掘りしないようにする。
ジオテキスタイルを施工後の路盤は、路床面を傷めないよう砕石搬入箇所を通行帯とし施工する。
6.おわりに
工事計画段階では、地下埋設物が支障となり、施工方法、交通規制方法に不安だらけでしたが、工事関係者の皆さんとさまざまな意見を出し合いながら打合せていくうちに、ひとつひとつ不安が取り除かれ、無事に工事を完成することができました。
今後も、より良い構築物を提供するため、この経験を活かし、さらなる技術の研鑚と社内での情報の共有化、継承を通じ、財産として活かせる方法を模索していきたいと思います。