• 平成28年度

山間地における情報化施工を取り入れた施工方法

中村建設株式会社 瀧本 昌司
清水 颯夢

1.はじめに

本工事は、三遠南信自動車道(佐久間道路)にともなう佐久間IC(仮称)付近の道路改良工事となる。現在の状況として、鳳来峡IC~浜松いなさ北IC間(延長約13.4㎞)は平成24年に開通しており、今回施工した佐久間IC(仮称)~東栄IC(仮称)の約6.9㎞を平成30年に供用開始予定として、現在施工を行っている。

2.工事概要

工事名
平成27年度 佐久間道路川合地区整備工事
工事箇所
浜松市天竜区佐久間町川合地内
工期
平成27年6月25日~平成28年3月29日
発注者
国土交通省 中部地方整備局

浜松河川国道事務所(工務第二課)
工事内容
アスファルト舗装工1式
下層路盤工    1360m2
上層路盤工    1350m2
基層工      1340m2


3.取り入れた情報化施工

該当工種 ・・・ 下層路盤工(契約前技術提案「附則」)・上層路盤工(創意工夫)

①MCモーターグレーダー
設計値(3次元設計データ)に従って、機械をリアルタイムに自動制御して施工を行う技術
【メリット】 作業効率の向上・工期短縮・熟練者不足にも対応・安全性の向上
②TSによる締固め管理
TSで建設機械の位置を取得し、平面上に設けたメッシュ毎に締固め回数をカウントし、試験施工で確認した規定回数との差をオペレータに提供する技術。
【メリット】 品質管理の効率化向上・人為ミスの減少
③TSを用いた出来形管理
 施工管理を搭載したTSを用いた出来形計測とし、データをソフトウェアにより一元管理して、一連の出来形管理作業に活用することで、作業の自動化・効率化が図られる。
【メリット】 出来形管理作業の省力化、効率化・出来形帳票のミス抑制

4.現場の特徴

当現場は、原田橋の崩壊により一般車の通行が禁止されており、工事車両以外の通行がない道路であった。また、線形が直線的でありTSを使用するには最適な箇所であった。その他にも、施工箇所が2つに分かれて施工時期も差があったため、一回目での施工時の問題点を修正することが可能であった。実際、一回目の施工時にTSとローラの通信が何度が転圧機械等により遮断されてしまう事が何度かあったが、二回目の施工時に修正することができ、スムーズに施工を行う事ができた。

5.まとめ

 今回、下層路盤工・上層路盤工において情報化施工を採用した結果、目標としていた社内規格値内で施工することができ、出来形・品質の向上に繋がった。その他にも、時間短縮や人手不足といった点についても、効果があったと考える。実際、作業人員も従来施工と比べると多少ではあるが人員削減ができ、特に管理的な部分での人員の削減ができた。
 情報化施工の留意点としては、当現場は事前確認の前の段階では、GPSでの情報化施工を検討していた。しかし、実際に現場で確認するとGPSの必要電波が足りずTSでの管理へと変更した。このように、山間部においてはGPSの電波が入りにくい箇所となるため、TSでの管理となり基準点の設置が必要となってくる。また、今回は基準点の設置箇所間隔が広かったために、管理しずらい測点があった。
 今回3つの情報化施工を実施し、どの項目においても施工の効率化・担い手不足の改善につながると感じた。これから先、さらに後継者不足等が問題となってくる中で、積極的に情報化施工などの新しい技術を現場で取り入れていき、社内への水平展開を行っていきたい。