• 2019年度

(国)152号交通事故削減対策整備工事の課題と対策について

株式会社 中村組 冨士見飛鳥

1.はじめに

本工事は主要幹線道路である国道152号線の市役所前交差点~下池川町交差点までの区間の安全で快適な自動車・自転車の利用環境を整備して交通事故の削減を図る工事となります。(図1)

本線は重交通路線(自動車44,000台/日、大型車2,600台/日)かつ、浜松駅にアクセスするバスやタクシーの路線が重複していました。また、近隣の小・中学校、高等学校、商業施設等の通学・通勤路となり、特に朝夕の時間帯は歩行者・自転車の往来が非常に多く、これら厳しい施工条件の中で夜間工事(車道)と昼間工事(歩道)に作業形態を分けて施工する必要がありました。

図1

2.工事概要

工事名
平成30年度 交通安全施設等整備・修繕国交付金事業(防災・安全交)(国)152号交通事故削減対策整備工事)
工事箇所
浜松市中区元城町地内外
工期
平成30年7月4日~12月7日
発注者
浜松市南土木整備事務所
工事内容
延長L=521m 面積A=9,140m2
工種
路面切削、排水性舗装、区画線、マーク設置、バス停留所等 1式

3.現場の課題

本工事の特性等考慮して特に下記項目を最重要の課題として現場に取組みました。

(1)夜間工事(車道部の切削オーバーレイ工事)

・走行性および表層の品質向上を図る為、①平坦性向上が見込める舗装機械(アスファルトフィニッシャー、マカダムローラ)の活用、②締固め管理等の工夫(転圧機械・回数毎に締固め密度を確認、表層の品質に大きく影響する二次転圧(タイヤローラ)管理の工夫等)

(2)昼間工事(交差点歩道の改良—インターロッキング工事)

・第三者災害および近隣からの苦情ゼロを達成する為、①工事段階毎(着手前,工事中)の綿密な近隣調整、②工事中の安全対策(特に歩道利用者(歩行者・自転車)への対策)

4.対策

(1)夜間工事(車道部の切削オーバーレイ工事)

①平坦性向上に定評のあるフェーゲルフィニッシャーを活用して舗設するとともに、試験施工で敷均し高さや排水性舗装の表面の状態、タンパバイブの設定値等を事前に確認したことで、舗設時のトラブルの発生リスクを大きく軽減させました。加えて、振動マカダムローラを活用したことで均一な締固めが可能になるとともに、前輪2輪が左右独立した振動機能を有していることから、特に縦継目に発生しやすい段差を振動をかけながら修正して品質の向上を図りました。

②施工初日に舗装密度測定器を活用して、ローラ-毎の転圧回数と密度の相関性を事前に把握して過転圧による透水性低下を防止しました。また、二次転圧時のローラー部への合材付着を防止する為、非接触型の温度計を適宜活用して、表面温度を確認しながら転圧範囲を管理しました。

写真1 写真2 モニター

(2)昼間工事(交差点歩道の改良—インターロッキング工事)

①工事段階毎に独自の回覧版を作成・配布して近隣に周知するとともに、影響の大きい学校や商業施設等を都度直接訪問して工事説明(規制,車両の出入り等)を行いました。その際、要請・要望等について細かくヒアリングして対応するとともに発注者と情報共有の徹底を図りました。

②施工条件上、翌日以降も歩道の規制帯を設置したままの作業形態となる為、特に第三者災害の発生が懸念される朝の時間帯(7:00~8:00)について、交通誘導員2名+職員の計3名で安全誘導を行いました。また、歩行者・自転車の滞留箇所や規制用の看板・矢印・標識等についても工夫を凝らして、第三者災害の発生リスクを軽減させました。

写真1 写真2 モニター

5.結果

(1)夜間工事(車道部の切削オーバーレイ工事)・・・・・ 平坦性1.05(最小0.98)の良好な結果となりかつ、舗装表面の保護材を部分的に活用したことで交差点の骨材飛散も発生しませんでした。

(2)昼間工事(交差点歩道の改良—インターロッキング工事)・・・・・ 第三者災害の発生および近隣(地元,学校,商業施設等)からの苦情ゼロを達成しました。

6.終わりに

地元近隣や関係各所と綿密に調整しかつ、コミュニケーションに重点を置いて現場管理したことが功を奏し、特に発注者が懸念していた苦情の発生をゼロで完了することができました。また、走行性について目標にしていた平坦性1.0以下は達成できませんでしたが、交差点の骨材飛散が無い、良好な舗装を構築できた事で地元や発注者から高い評価を頂く事ができました。