2022年度 クロスチェック審査
２０２３年度（令和５年度）のクロスチェック審査は、11月1日から12月15日までの期間で実施しています。書類審査と製造設備の確認ならびに代表混合物の確認と供試体の作製を11月28日までに終了させた後、採取した混合物の性状確認試験を12月15日までに実施しており、混合物を採取する当日の雨天に悩まされる工場もありましたが、特に大きな支障の発生も無く、全ての工程を無事に完了することができました。
近年はコロナ感染症対策の一環として、立ち会い者を少数に限定していたこともあり、本来のクロスチェックの意味が薄れてしまうことを懸念していましたが、コロナ感染症が第５類へと移行したことから活動を制限する必要が無くなり、各官庁ならびに三団体のアドバイザーの皆様から多数の参加をいただけたことで、今年度は充実した審査を実施することが可能となりました。
今年度におけるクロスチェック審査も基本の部分は変更せず、製造設備や混合物の変調に対する確認を目的として、混合物製造時の混合時間と供試体作製時の重量の項目をチェックシートへと新たに追加しています。
混合物の配合設計や試験練りにより年度当初に設定した数値に大幅な変更の必要性や大きな誤差が発生した場合、プラント計量器の精度やミキサーの混合能力低下ならびに使用している材料の性状変化等の疑義が生じて来ますが、製造工程や試験関連の設定値等に変調が見られない場合には、混合物の製造過程における管理等が確実に実施されていることにも繋がるため、工場の品質管理状況を判定する指標になり得るものと考えたからです。
この点で全２７工場の製造工程上においては、異常と考えられる数値や過大な計量誤差の発生ならびに混合物に対しての著しい変調も無く、通常の書類審査や混合物の性状確認試験を含めても良好な結果が報告されており、日頃から安定した混合物の製造と確実な品質管理を実行していることが推測されます。
混合物の性状確認試験の全体的な印象としては、各工場の設定目標値からの乖離が小さいとともに、自社と他社の試験値に統一性のある結果が報告されており、試験結果の信頼性と各試験員の試験精度の向上が伺えます。
今後も合材協会の規格値やクロスチェック審査の試験データを参考にすることで、各工場における規格値の設定や見直しを図り、混合物を高い品質で維持することを望みます。クロスチェック審査では道路舗装に関係する多数の方が参加されており、情報の交換や意思の疎通が可能となる、技術の交流を図る上では非常に有意義な場所でありますので、参加される方には様々な意見を積極的に且つ活発に発言をしていただき、多くの情報を共有するとともにクロスチェック審査と道路舗装業界への活性化に繋がれば幸いに思います。
静岡県アスファルト合材協会 技術委員長 佐藤千速
