クロスチェック

2021年度

令和3年度 クロスチェック審査

令和3年度のクロスチェック審査は、静岡県内のアスファルト合材工場27プラントを対象にして、11月2日から12月15日の期間で実施しました。

作業標準書の改訂内容を始め、それに応じた品質や安全管理関係の書類、納入材料や製造設備等の点検から混合物製造までの工程管理の確認を11月中に済ませ、12月からは混合物の性状確認試験へと移行しています。

審査内での重大な指摘や混合物性状等に問題が発生した工場は無く、全20日間の工程で無事に終了しています。

今年度の審査においても新型コロナウイルス感染症予防対策について考慮し、少人数による短時間の審査方法で実施する計画を立案していましたが、開催時期にはコロナ感染者数が一時的に減少したこともあり、協会技術委員やアドバイザーの多数の方から予定以外の審査に立ち会いたいとの要望があり、審査への関心の高さが伺えました。

これにより、当初の予定よりは参加延べ人数は増加してしまいましたが、結果的には昨年度よりも充実した審査活動を実施できたことに感謝しています。

昨年度からのコロナ禍と言うこともあり、今年度の課題は試料採取混合物の確認「短時間で正確な書類審査の実施」として書類審査時間を40分と設定したところ、多少の時間差はあったようです が、各支部からは概ね良好であり合格点との報告を受けています。

また、活動範囲を制限したことで、審査経験が不足している若手の技術員も動員しなければならない事態となり審査の進行等に若干の不安はありましたが、審査員がマニュアル等を活用して受審者との質疑応答が的確に交わされていた状況に立ち会えたことで、安心とともに課題の達成を実感することができました。

今年度も屋内における審査時間を短縮したことにより、屋外審査(使用骨材や材料貯蔵の状況確認)に時間を掛けましたが、貯蔵場所に必要な看板の老朽化や欠損状況が目に付き、管理に無頓着な工場が増えているような気がしました。

最近では使用する骨材を始めとする材料の種類が増加している工場もありますので、審査員やアドバイザー(第三者)が見ても正確な判断が可能となるように、表示看板・安全標識・GHSラベル等の設置の改善を進めて貰うと同時に、合材協会でも材料の管理体制に関してのチェックや指導が必要であると改めて感じています。 

混合物の性状確認試験についてですが、マーシャル安定度試験は試験機の性能誤差や試験者の読み取り誤差により、大きな差異が発生する傾向にあると個人的には思います。

それは、工場毎の試験機も多種多様で年式や型式の違いもあり、試験精度を向上させるためには試験者の高いレベルが要求されるためです。

クロスチェック審査では審査時に採取した同じ試料を、自社と他社において別の試験者が実施した試験結果を比較していますが、今年度の立ち会い試験においても全ての工場の混合物性状は規格内であり、その結果には大きな差異はありませんでした。

このことから、双方の試験者は試験技術を同レベルで習熟しており、試験結果的には高い精度が確保されていることが証明できます。

ただし、6個作製した供試体の個々の密度にバラつきが発生する工場や安定度が配合設計時から予想より大きく変動する工場も27工場中には少なからずありますので、その様な工場については、供試体作製の精度向上から努力が必要です。

安定度の変動に関しては再生骨材の性状に起因する可能性もありますので、常に一定に管理することは難しいと思いますが、各工場の社内規格をもとに日常の品質管理を継続しているデータがありますので、その変動幅と要因を見極めて管理をすることで、品質の確保と安定した製品の供給をして目指して貰えればと思います。

来年度の課題として考えていることは、クロスチェック審査時における試験の評価基準の目安(目標)を検討することです。

日常管理では各工場で規格値を設定していますが、密度試験やマーシャル安定度試験には未設定の部分がある工場が多数ありますので、各社の設定理由を明確にした上で妥当性や必要性を合材協会としても検討した上でクロスチェック審査時における評価基準を決定したいと考えています。

今後も管理規格の設定や審査の厳正化に繋がるよう、新たな試みに取り組むことで、品質管理やクロスチェック審査の底上げに努める所存です。

最後に、クロスチェック審査を実施するにあたり、ご参加をいただきました皆様に、貴重なご意見・ご指導を賜りましたことに感謝を申し上げます。

静岡県アスファルト合材協会 技術委員長 佐藤千速