2022年度 クロスチェック審査

令和6年度のクロスチェック審査は11月初旬から下旬にかけて、書類審査と製造している混合物の確認ならびに採取した試料による供試体の作製と手順の確認、使用材料の保管状況の確認、工場施設の安全関係やGHSラベル表示等の確認を中部地区から実施しました。書類審査終了後の11月下旬から12月中旬にかけては、混合物の性状確認試験を実施しています。
今年度も作業標準書や管理書類上での不備、混合物性状値の規格値からの逸脱も無く、無事に全日程を終えることができました。審査に関係した合材協会の関係者ならびにアドバイザーの皆様には多大なる感謝を申し上げます。書類審査の項目は昨年度からの大きな変更点は無く、クロスチェック審査開始当初と比較すると工場の管理上で必要となる書類は概ね統一されており、近年では書類関係の不備は皆無であるため、今回の審査においても大きな指摘を受けた工場はありませんでした。

採取した混合物の性状確認試験は、検査対象となる混合物の全てが協会で定めた各々の管理目標値に対して規定範囲内の結果を満足しており、混合物性状の各設定値からの誤差および試験者による誤差も極めて少ないことから、静岡県内の全26工場では適切な管理により良質な混合物が製造されていることが確認できています。供試体の作製方法についても審査時に指導していることから、供試体を正確かつ丁寧に作製したことが改善した要因のひとつになったものと考えていますが、日頃から試験精度に関する意識を高く持ち、クロスチェック審査時においても設定値からの乖離を極力少なくすることに努力し、試験の正確性・審査の信頼性を得ることに尽力して貰いたいところです。
工場責任者と品質管理担当者へのヒアリングでは、ほぼ全ての工場において「合材製造量減少による工場運営への不安」と「人材不足ならびに個人業務の負担増大」が深刻な問題となっています。関連性は無いとは思いますが、工場内における不備が再び散見されるようになり、使用骨材の保管状況やGHSラベルの表示等を指摘された工場も少なからずあるようで心配しています。これについては、過去に発生した未承認骨材の使用等の不祥事例を改めて周知・認識し、対外的に誰が見ても不信感が出ないように、混合物の製造に携わる全ての方が責任感を持って対応をしていただくことを望みます。また、日常的な管理意識の欠如やクロスチェック審査に対する受信する側の意識低下が発生しないよう、定期的な会議の開催やクロスチェックの審査体制を見直す必要性もあると感じています。
クロスチェック審査の開始から20年以上が経過し、審査方法は確立されつつありますが、今後は「支部間における書類審査の強化」「支部間における性状確認試験の実施」を試みながら、多くの方に参加していただけるようなWebの活用、印字(製造)記録をランダムでチェックできる審査システムを構築する等、審査の透明性を高めることやマンネリ化の防止を目的として、可能な範囲で徐々に改善していけたらと考えています。審査に参加していただいた皆様からのご指導ならびにご意見を真摯に受け止め、更なる向上を目指していく所存でありますので、今後も合材協会へのご助力を賜りますようお願い申し上げます。
静岡県アスファルト合材協会 技術委員長 佐藤千速
